猫の隠れんぼ
先日こちらをじっと見つめていた猫がいたので、
その姿をカメラに収めようとしたところ、草陰に隠れてしまった。
人への警戒心の強い猫だし、怖がらせては可哀想かと思い、
その場を離れることにした。
しかし、視線を感じ振り返ると猫がついてくるではないか。
ツンデレな猫なのかと思い近づいてみると、
案の定、近くに停めてあった車の下に隠れてしまった。
しかし、車の下に隠れながらもこちらをじっと見ている。
こんなに強い目ヂカラで見つめられてしまうと目線を外せなくなり、
そのまま、その姿をカメラに収めることにした。
しかし、この猫が隠れた車。
人が乗っており、エンジンがかけた状態で一旦停止している車だったのだ。
運転手が気づかず、動き出してしまってはこの猫を傷つけてしまう。
ただ運転手に「猫がいるから動かさないでくれ」と声をかける勇気もなく、
一生懸命猫を呼び出そうと、
誰かに聞かれないように遠くから控えめに、
猫の鳴き真似をするなど試行錯誤をしてみた。
しかし、ふと気づいた。
猫が隠れている原因は私だ。
その場を離れて遠くから見ていると、猫は無事車の下を離れた。
そういえば猫バンバンというプロジェクト思い出した。
寒い冬、猫は暖かいボンネットなどに入り込んでしまう。
それに気づかない人間が車を動かしてしまうことで猫を傷つけてしまう。
なので、車に乗る前にバンバンと車を叩いて猫に車が動くことを知らせましょう
というプロジェクトだ。
今回の出来事はそれとは少し違うが、猫バンバンを思い出してしまった。
いつも思うが、普段生活していると人間の世界に猫がいると勘違いしてしまう。
けど猫から見れば、猫の世界に人間や人間が作った車があるのだ。
猫バンバンは猫の命を守ろうというプロジェクト。
ただ猫にはどう思われているのかはわからない。
危険を知らせてくれてありがとうと思っている猫もいれば、
せっかく寝てたのになーって思ってる猫もいるだろう。
今回の車の下は、人間の目線からすれば危険な場所だが、猫にとってはこっちを伺いながら奥に逃げ込めるスペースもある良い隠れ家だったかもしれない。
ただ、彼をそんな隠れ家に追い詰め、さらにそこから追い払おうとしている私は猫からすればたぶん随分迷惑な人だっただろう。
人間の視点と他の生き物との視点の共有は難しいと思ってしまいます。