梅しごと
頭をクラクラさせるほどの太陽と、息をするのも一苦労なほどの湿気。
本格的に夏を迎えた7月。
最近、忙しくて更新できていなかったが、
雨ばかりで外にいくのも億劫だった6月。
私は家で梅しごとに励んでいた。
というのも、青梅をつけてできる梅シロップが好物なのだ。
そしてこの梅を漬ける工程も好きで、毎年楽しみにしている。
梅の表面には細かい毛が生えている。
梅を流水で洗い終えると、
まるで赤ちゃんのお風呂上がりのうぶ毛を触った時のような、
なめらかで優しい手触りになる。
このお風呂上がりの梅たちを一晩冷凍する。
冷凍することで、梅の細胞に含まれる水分が凍り膨張することで細胞が壊されるのだ。
これを利用して、より短期間でシロップができるようにする。
そして、凍らした梅を氷砂糖と交互に瓶に入れて放置する。
この瓶を見ると、涼しさを感じ夏に近づいた気持ちになれるのは私だけだろうか。
浸透圧でじわじわと抽出される梅のエキス。
言い換えると、浸透圧とは細胞の中と外の濃度を揃えようとして水が流れる力のことをいう。つまり、糖度を梅の中と外で揃えようとして梅のエキスが含まれた水分が外へ出てくるのだ。
高校の時に浸透圧をならった時は、これがなんの意味があるのかわからなかった。
しかし、この自然界の法則があるからこそ生まれる美味。
神秘さを感じるとともに、これに気づいた昔の人に感謝したくなる。
2週間後、すっかりエキスを出し切ったシワシワになった梅。
この甘酸っぱいシロップのおかげでこの夏の暑さも乗り越えられそうだ。