蝶の羽ばたき
散歩をしているとき、ひらりひらりと落ちてくる影が目に入った。
はじめは葉っぱが木から落ちてきた影だと思ったが、その影は落ちかけたかと思うとひらりと舞い上がり花に着地した。
鮮やかなピンクの花に映えるエメラルドグリーンの羽。
“美しい”・“キレイ”という言葉ではなく、“可憐”という言葉が似合う蝶だった。
蝶はせわしなく羽ばたいて、落ち着いて一つの花に留まることはなく次から次へと花の間を行き来していた。
その可憐な姿を写真に収めようとシャッターを何度も切った。しかし蝶はじっとは止まってくれず、小悪魔のように私を翻弄していた。
シャッターでは収めることができないほどの羽ばたき。
シャッターの速度は1/60秒。
それよりも速い羽ばたきが日の光によって煌めき、エメラルドグリーンの羽の輝きをより増幅させてみせているように見えた。
図鑑の写真を眺めているだけでは出会えない光景。そんな光景に出会える散歩が私は好き。