花の中のむし
まだまだ日差しの強い日。
しっとりとしたイメージの睡蓮には似合わない気がする日。
そんな日にまっすぐに上を向いている睡蓮を見つけた。
その睡蓮を上から覗いてみると、
ハチだろうか。
虫が雌しべの中でお亡くなりになっていた。
睡蓮だけでないが、花は虫によって受粉するものが多数ある。
それは虫と花の持ちつ持たれつの関係で成り立つ。
虫は美味しい蜜を受け取る代わりに、花の花粉を遠くへ飛ばすのだ。
この虫は報酬である蜜をもらう際に悲しい結果になってしまったのだろうか。
普段は目の前を飛んでいると煩わしく感じてしまう虫だが、
せっせと蜜や花粉を運んでいた末の姿をみると侘びしく感じる。
そういえば、睡蓮の花は中心部を柱が囲むような形になっていて、
雌しべと蜜が見えるようになっている。
しかし実は開花直後は、蜜と雌しべを隠すようにその柱が中央に向かって倒れるような形になっていて雄しべ(花粉)が露わになっている状態らしい。
開花直後は虫にたっぷり花粉をつけてもらって、そのあとに報酬として蜜を渡す。
と見せかけて受粉をしてもらうといったところか。
大人しく見えても、生物は常にかなり戦略的だ。
脱帽ものです。