スズメのお家
朝とある家の石垣を通りかかると、スズメの鳴き声が聞こえてきた。
石垣の隙間の影に1匹のスズメが隠れていた。
数時間後、たまたまもう一度同じ場所を通りかかると、3匹になっていた。
怖がりなスズメだが、私が近づいても逃げる様子もなく、3匹が寄り添うように石垣の影に隠れていた。
いつも近づくとすぐ逃げてしまうスズメ。
こんなにまじまじと見たのは初めてだった。
思った以上にふさふさの羽毛。少し折れ曲がり、ぴょんぴょんと跳ねるためのバネが仕込まれていそうな短い足。
さらに寂しがりなのか、これでもかといわんばかりに仲間にくっつく様子。
全てに愛嬌を感じる姿だった。
スズメが家に巣をつくると、縁起が良いといわれているらしい。
この3匹はこの家に幸せをもたらすのだろうか。
化学が生み出す不思議な景色⑥ 〜地獄めぐり in 別府〜
最後は龍巻地獄。
龍巻地獄はいわゆる間欠泉だ。
現地に着き売店を通り抜けると、観光客がみんなこちらを向いて座っている。
なんだろうと思い振り返ってみると、岩で築かれた大きなお椀型の壁があった。
これが地獄なのか?と思い、看板をよくよくみてみると、約40分に1回温泉が吹き出すとのこと。
私は今まで間欠泉をみたことがなく、恥ずかしながら間欠泉は常に温泉が吹き出し続けているものだと思っていた。少し残念な気持ちになっていると、この約40分に1回というのは世界中にある間欠泉の中でも、吹き出す間隔が短いので、頻繁にその姿を見れることで有名とのこと。
しばらく静かな岩の壁を眺めていると、湯気が心なしか多くなってきた。
もしやこれは兆候かなと思っていると、温泉が勢いよく噴き出し始めた。
思ったほどの勢いではなかったが、温泉はとどまることをしらず延々と噴き出し続けた。
間欠泉は地下にある空洞に水蒸気が溜まって地下にある水を押しだすことで、その姿を見せてくれる。ワンピースに出てきたノックアップストリームのようなものだ。
延々と噴き出す温泉を眺めながら、こんなにも地下には温泉が溜まっていたのかと感心したりしていた。
生ノックアップストリームを尻目に門を再びくぐり帰路につくと、異世界の世界から帰還した気持ちだった。
化学が生み出す不思議な景色⑤ 〜地獄めぐり in 別府〜
ここのところ、ひたすら地獄についてずっと書いている。
それくらい日本にはまだまだ知らない景色がたくさんあったことに驚きがあったという私の深層心理だろう。
次は血の池地獄。
かまど地獄にも赤い色の温泉はあったが、少し印象が違う。
ここは少し町中から離れており、木々に囲われた場所にあった。
それが異世界感が漂わせ、絵本に出てくるような「THE 地獄」ともいえるような薄気味悪さを演出していた。
HPをみると、この赤い色は酸化鉄や酸化マグネシウムが溶けた熱泥のため赤い色に見えているとのこと。酸化マグネシウムは白色ではなかったのか??と思いながら色々調べてみたが、答えが出ず未だに悶々としている。
そんなことはさておき、この血の池地獄ではここから湧き出る泥を使った軟膏を販売していた。薄気味悪さをたたえたこの地獄を、ケガの治癒に活かそうと最初に発想を起こした人はすごいと思う。
こういう勇気と革新を起こせた人はいるから、現代の医療は発展していると思いを馳せたりしている。
化学が生み出す不思議な景色④ 〜地獄めぐり in 別府〜
地獄を色々巡って来たが、続いては鬼山地獄と白池地獄。
これは今までの地獄とは違って少々特殊だった。
温泉が作り出す不思議な景色というより、温泉の熱を利用してワニや熱帯魚など暑い地域で生息する生き物たちを飼育している場所だった。
温泉から沸き上がる水蒸気の勢い、迫力が魅力的な鬼山地獄。
鬼山地獄とは対照的に静寂で穏やかなイメージの白池地獄。
地獄というより、暖かい温泉に常に触れられるなんで生き物にとっては楽園なのでは?
なんて思いながら、生き物たちを観察してみた。
その中でも新たな発見があった鬼山地獄のワニたちを紹介したい。
ワニたちは温泉が心地良いのか、寝ている訳でもなくほぼほぼ動かないものがほとんどだった。
印象的だったのが、常に仲間たちにくっついている姿。
私の中で獰猛で一匹狼のイメージだったワニが、こんなにも仲間達とベタベタしている。ギャップ萌えというのだろうか。ワニ が可愛らしく見えてしまった。
後から調べてみると、ワニは基本的には群れで生きており爬虫類の中では最も社会性のある生き物だという。
だから仲間への愛が強いのかもしれない。
こんな風に思うと、柵を掴んで人間の姿をジッと見ているワニもユーモラスに見えてくる。
こんな風に思うのも、尤も柵の外だからだが・・・笑
化学が生み出す不思議な景色③ 〜地獄めぐり in 別府〜
海地獄、泥地獄と来て、お次は“かまど地獄”。
名前から、石川五右衛門的な「かまどでグツグツ煮られてしまう」ような怖いことが由来なのかと思っていたら、温泉の噴気で昔ご飯を炊いていたことが由来なのだということ。なんだか平和な由来だった。
かまど地獄はエンターテイメント性に溢れた場所だった。
スタッフの方がタバコの煙を噴気口に向かって吹きかけると、
噴気口から白い煙がモクモクと立ち上がった。
噴気口の周りが丁度コンロのような形をしていたので、その姿はまさしく「グツグツに煮えたお鍋」。
ちなみにこの煙は飛行機雲ができる原理と似ているのだそう。
噴気口からは常に水分が飛び出ているが、私たちの目には見えない。
タバコの煙を吹き付けることで、その煙の中にある小さな塵たちが核となり雲ができるとのこと。
かまど地獄には色々な色の温泉があった。その中のうちの一つ。
この赤い激辛ラーメンのスープのような温泉。
この熱くて辛くて痛そうなまさしく地獄のような温泉にスタッフの方が煙を吹きかけると、ドラゴンが通った後のような荘厳な雰囲気が作り出された。
自然と科学の力によって生み出される景色は、どんな映画のシーンよりもエンターテイメントに溢れたシーンだった。
化学が生み出す不思議な景色② 〜地獄めぐり in 別府〜
前回の海地獄に引き続き、地獄めぐり。
今度は“坊主地獄”。
坊主?の地獄?って坊主がいっぱいの地獄?なんて意味の分からないことを想像しながら、現地に行く前に調べてみると灰色の泥が沸騰する姿が坊主の頭に似ていることに由来するとのこと。
なるほどと思いながら、実はそこまで期待していなかった。
しかし現地に到着すると、いい意味で裏切られた気持ちになった。
それはもう、坊主の頭というキレイなものではなく、
なんかとてつもない生き物(ポケモンのベトベトンみたいな?)がモグラ叩きのように地面から現れては一瞬のうちに消える光景だった。
その生き物が現れる周辺には泥でできた地層のような模様が円形にできており、
漫画の効果線のように、その生き物の迫力を増大させていた。
さらに、その生き物が群れをつくると、近くに咲く花の可憐さを打ち消してしまうようななんともいえないオーラを持った光景になった。
この光景は粘度のちょうど良い泥が、たまたま温泉が吹き出される場所にあったからできたものだと思う。
この泥の粘度が低ければ、このような形を作れないし、
粘度が高ければ吹き出されることはないだろう。
最適な物理的な条件が生み出した奇跡の生き物たち。